ガラガラガラ…
立て付けが心配なガラス引き戸をあけると、腰をかがめたおばあちゃんが何を言うわけでもなくこちらを見てニコニコと微笑んでいる。
ずらりと並ぶ美味しそうな量り売り惣菜に、雑多にセレクトされた食品やお菓子。古時計に一昔も二昔も前のレジ。
大昔の町の惣菜屋がそのまま残っているようなこのお店は、近江八幡で古くから営まれている小さな惣菜屋『三松食料品店』。
明治20年、米屋として初代店主が店を構え、時の流れに合わせて緩やかに形を変えながら代々受け継がれ、現在は居住スペースの一室を利用し、惣菜屋兼カフェのようなスタイルでその歴史を重ねている。
『三松』があるのは、近江八幡の観光地「八幡堀」近くの裏路地。趣ある風景に馴染むその佇まいは、当時からほとんど姿を変えていない。この辺り一帯を含め、『三松』に一歩足を踏み入れると当時にタイムスリップしたかのような感覚になるのは必至であろう。
そんなノスタルジックな雰囲気の中、ランチは店のおばんざいを味わえるという。
思わず、こちらの世界に戻って来られるか一抹の不安がよぎった。
ここまできたらもう後には引けない。
さぁ、心ゆくまで『三松』の世界を堪能しよう。
こんにちは。ロモアライターのハナメです。
滋賀の飲食店界隈では言わずと知れた名店『三松』さんにようやく伺うことができました。
お店の雰囲気はもちろん、家庭料理ながらお味も絶品。おばんざいだけでなく特製のカレーやプリンもファンが多いんです。
店内の雰囲気はまさにおばあちゃんの家。
お座敷とカウンターがあり、一人でも家族でも来やすそうです。小さいお子さんも大歓迎だそうで、子ども椅子もたくさんありました。
メニューはこちら。
今回は初めてなので【おばんざい膳】¥1540 をいただくことにしました。
おばんざい膳は、お店に並ぶお惣菜4種とメイン、ご飯、汁物、漬物がセットになっています。内容は流動的なので行ってからのお楽しみ。メイン料理はSNSを要チェックです。
本日の内容はこちら。
・さわらの塩麹焼き
・ひじき豆
・マーボー豆腐
・豚バラ大根
・ほうれん草の煎り卵和え
・えび豆
・ご飯(おかわりOK)
・しじみのお味噌汁
『三松』さんのこだわりは、「冷めても美味しい」ということ。お惣菜屋ならではですね。レンジで温めなくても、冷蔵庫に入れていても、そのまま美味しく食べられるって嬉しいです。
そして、お子さんからお年寄りまでみんなに安心して食べてもらえるようにと、全て無添加で作られています。
食材はできるだけ地元のものを使っていて、しじみは琵琶湖で採れたてのものだそう。郷土料理の赤こんにゃく煮などは定番で置かれているそうです。
実家を出てから10年近く経つ筆者ですが、「作る側」になって常日頃感じている「誰かの作ったご飯が食べたい」という欲求を優しく叶えてくれるようなメニューに心が安らぎます。
それではゆっくり味わいたいと思います。
まずはお味噌汁。自家製味噌と丁寧にとった出汁が効いていてとっても美味しい…。しじみもたっぷり入っています。美味し過ぎて味噌買いたくなりました。
この一口であまりに心が緩み、それぞれの写真を撮り忘れてしまいました…。
感想だけ書かせていただきます。
・さわら塩麹焼き
さわらはふっくらふかふか。味付けはとってもシンプル。さらわ本来の美味しさを感じます。
・おばんざい4種
「冷めても美味しい」と聞いて味濃いめなのかな?と思いましたが、薄味派の筆者でもええ塩梅。どれも「おばあちゃん…」とうるっときそうな素朴な美味しさですが、家では出せないプロの味がベースなのが不思議なところ。
・えび豆
滋賀の郷土料理ですね。久しぶりに食べましたが、こんなに美味しかったっけ…これだけでご飯一杯いけちゃいます。
どれも真心込めて丁寧に作られているのを感じられるものばかりでした。
本当に美味しかったです、ごちそうさまでした。
危うくこっちの世界に帰れなくなりそうでしたが、「これ作ったの僕です」とまだお若い五代目店主さんの登場にずっこけそうになりながらも、しっかり現実に戻ってきました。
その夜はいつもよりちょっと丁寧にご飯を作ったものです。でも、やっぱりあんな味は出せないなぁ…
なんでもフレンチの修行経験もあるそうで、だからこんなに「プロっぽさ」があったのか、と。
店主さんイチオシの隠れ名物【カレー】や【さんまつぷりん】も食べたいので、今度は家族でおばあちゃんちに帰省する感覚で食べに来たいなと思います。
もう一つの帰省先ができたような、そんな気分になりました。
[近江八幡市グルメ]
▶️『自家製おうどん三拍子』で食べられる破壊力抜群の「カレーうどん」
▶️タイ人仕込みの日本人シェフが織りなす本格タイ料理が楽しめる『near ThaiL』
▶️雰囲気抜群!築100年以上の古民家を改装して作られたお店『菓子屋mafika』
▶️「天極製作所」の”煮干しバターとばら海苔の醤油ラーメン”
▶️『食堂ヤポネシア』で食べる「ビワマスのお造り」
▶️素材にこだわった絶品パンが食べられるお店『pain standard(パンスタンダード)』
▶️滋賀県民こそ意外と食べたことないかも?滋賀の銘菓”でっち羊羹”発祥のお店『和た与』
店舗情報
[店名]三松
[住所]滋賀県近江八幡市永原中11
[電話]0748-32-2983
[定休日]土・日曜日(祝日は営業)
[営業時間]11:00~18:00
[駐車場]あり(5台)
[お店のHP・SNS]Instagram・HP